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レッサーパンダたちの「おやつ」の新しい与え方

時間:2019-04-23 11:06:00 シェア:成都大熊猫繁育研究基金会

 

 先日、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地(以下、成都パンダ基地)のレッサーパンダの運動場にはロープやブランコ、縄ばしごなどの遊具や色とりどりの「フルーツ給餌装置」が新たに加わりました。縄ばしごやブランコに色々な果物がぶら下げられた、この「フルーツ給餌装置」。これはどう使う物なのでしょうか?その答えは、木の上から素早く降りて来たレッサーパンダが教えてくれます。

 


「あれ?あれは何だろう?見に行ってみよう」

 

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縄ばしごに吊るされたカボチャとリンゴ

 


木から降りて来たレッサーパンダたち

 

 1匹のレッサーパンダが丸太橋を走るようにするするとブランコを走り渡り、縄に吊るされたリンゴをしっかりと握りながら食べ始めました。もう1匹は、前脚でブランコにつかまって立ち上がり、カボチャに頭を突っ込み夢中でかじっています。意外なことに、2匹は喧嘩することも無く、各々の「おやつ」を楽しんでいました。

 


リンゴを食べているレッサーパンダ:「あれ?ねぇ、食べているところを盗撮されているみたいだよ!」

カボチャを食べているレッサーパンダ:「うん?何を言っているんだい?聞こえないよ。美味しいなぁ。月の形に噛んでみよう」

 


リンゴを食べているレッサーパンダ:「まるで、僕たちの食事風景を見たことが無い様子だね。あんなぼんやりした“2本足の動物”のことなんて、自分だって相手にしたくないよ。ぺろぺろ…食事を続けよう!」

 


「あっちの仲間たちはもう食べ始めているみたい。あれ?この縄ばしごは登るのが少し大変だ…」

 


「みんな、心配いらないよ。ここにもまだ食物があるみたいだよ。ちょっと、ひっくり返してみよう」

 


「何が入っているかな?」

 


「“2本足の動物”の皆さん、もっと面白い物をくれない?さっきの竹筒の中の食物は全部食べちゃったよ」

 

 やんちゃなレッサーパンダを目にした来園者は、いつも、その姿に夢中になってしまいます。 「わぁ!あんなに速く木を降りているよ。逆さになって木を降りられるんだね。すごいなぁ」 「ほら、見て!レッサーパンダがカボチャを食べているよ!どうして、食物を吊るしているんだろう?レッサーパンダが遊べるようにするためかな?」「あれ?両前脚、いや両前脚の爪でリンゴを支えて食べているよ!面白いね」 「ほら、あのレッサーパンダはブランコにバランス良く座っているね」 「彼らは喧嘩しないし、食物も奪い合ったりしないんだね。活発だなぁ。縄ばしごも器用に登っていくよ」

 

 今回、このような新しい方法でレッサーパンダたちへ「おやつ」をプレゼントしました。レッサーパンダの運動場に新たなおもちゃが増え、生活環境が豊かになっただけではなく、来園者のレッサーパンダに対する興味を引き起こすことにも繋がり、まさに一石二鳥です。見た目には、ほんの少しの工夫に見えるでしょう。しかし、そこからレッサーパンダの生態などに関する多くの知識を学び取ることができます。

 

 その1つに、レッサーパンダの食物の種類が挙げられます。レッサーパンダの食性は幅広く、ジャイアントパンダと同様、タケやタケノコ、柔らかい木の枝やタケの葉を好みます。その他にも、甘みがある食物を好む彼らは、果物や木の葉、コケ、時には小鳥やその卵、小動物、昆虫を捕って食べます。彼らの生息地では、緑色の糞がしばしば見られます。レッサーパンダはきれい好きで、常に決められた場所で排泄します。採食後には、掌で口や顔を拭ったり、舌で口のあたりを舐めて清潔にする習性があります。舌は彼らにとっての感知器官であり、舌を使って周りを探索するため、舌をペロッと出す可愛らしい姿が頻繁に見かけられます。

 

 2つ目は、レッサーパンダは単独生活をする動物なのか、群れで生活する動物なのかということです。通常、レッサーパンダは単独、またはごく小規模の群れで生活します。縄張りを形成して生活するため、飼育下では、飼育スペースが不十分などの原因で、食物争いやテリトリーの奪い合いの喧嘩が見られます。いったん喧嘩が始まると、お互いの耳や尾をかみ切るなど、その様子は非常に獰猛です。食物が十分で、2匹の実力に差が無い場合や、オスとメス同士などの場合には喧嘩が生じることはありません。

 

 3つ目に、レッサーパンダの太い尾が挙げられます。彼らの尾は、バランスを維持する役割を備えており、木の上り下りや、縄ばしごなどの不安定な場所もしっかりと渡ることができます。そして、尾にある9つの輪の模様が、「九節狼」と称えられる由来です。「狼」と称されることもあることから、彼らの可愛らしい外見に隠れた内面の凶暴さをうかがい知ることができます。

 

 4つ目に、レッサーパンダの前脚の爪が挙げられます。彼らは、リンゴを前脚で器用に支えたり摘まんだりすることができます。また、掌には「第6の指」が存在し、タケを食べるのに役立ちます。それらの共通点もあり、レッサーパンダはジャイアントパンダとその生息地が重なった共生動物です。

 

 5つ目は「環境エンリッチメント」です。「エンリッチメント」は、ジャイアントパンダだけに限らず、ほとんどの飼育動物に必要不可欠です。「エンリッチメント」とは、その名の通り、飼育動物の生活やその飼育環境を豊かにすることを意味します。「エンリッチメント」の目的として、飼育下の単調な生活によって引き起こされる動物の「常同行動」などの異常行動の出現を減らす事が挙げられます。「エンリッチメント」を通じて、レッサーパンダの運動を促したり、食物に費やす時間を増やすことで、レッサーパンダの心身の健康に繋がるのです。

 

 レッサーパンダの運動場に新たに添えられたささやかな「おやつ」のプレゼントは、彼らの生活に大きな幸せをもたらしたと言えるでしょう。

 

 

 

 

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