2024-10-10
成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は中国科学院広州生物医薬、健康研究院と共同でScience advances科学誌の電子版に「Generation and Characterization of Giant Panda Induced Pluripotent Stem Cells」を題名にした最新の研究成果を発表しました。当研究では、リプログラム技術を利用してジャイアントパンダの皮膚線維芽細胞由来である人工多能性細胞株(iPSCs)を初めて作り、その独特な分子的特徴と、種の保全、疾患モデルの構築、再生医学における応用可能性を多次元の分析により明らかにしました。

ジャイアントパンダは中国の固有種であり、中国の「国宝」とされています。その独特な生態地位と種の状況から、世界の科学界から広く注目されています。ジャイアントパンダの遺伝資源をより効果的に開発・利用し、またパンダの生物学上の謎を探究するため、科学研究者は精原幹細胞、線維芽細胞、間葉系幹細胞など多くの種類の細胞を分離・保存してきました。しかし、分離された細胞は、増殖や分化、応用には多くの制限があります。科学研究者は増殖、発育、応用においてより潜在力のある細胞を獲得し、ジャイアントパンダの保全と科学研究に取り組む必要があります。
当研究で研究チームは、分離したパンダの皮膚線維芽細胞を利用してリプログラムによりiPSCsを作製しました。これらの幹細胞は、体外培養で安定的に増殖し多能性を保てるだけでなく、分化した体内と体外で異なるタイプの三胚葉細胞を作ることができ、高い成長の可能性を示しています。シーケンシング技術とバイオインフォマティクス分析により、研究チームはジャイアントパンダiPSCsの転写因子、エピジェネティクスを全面的に解析しました。その結果、iPSCsはプライム状態幹細胞の基本的な特徴に加え、他の生物種とは異なる独特の遺伝子発現パターンを持っていることがわかりました。同時に、研究チームはジャイアントパンダiPSCsの体外維持条件についてさらなる研究を行い、ジャイアントパンダiPSCsの維持特異的な培養条件を開発し、独自のシグナル制御ネットワークを発見しました。ジャイアントパンダiPSCsの一連の特徴は、パンダの進化過程における独自性を表現するだけでなく、パンダの種の特異的な保全戦略の研究と後続研究に貴重な手がかりを与えてくれました。

今回のジャイアントパンダの多能性幹細胞研究における画期的な進歩は、ジャイアントパンダの生物学的特徴に関する理解を豊かにするだけでなく、ジャイアントパンダの胚発生と細胞分化のメカニズムを深く研究するために、理想的な細胞モデルを提供してくれます。将来的には、研究が進み、技術が進歩するにつれて、ジャイアントパンダの iPSC は種の保全、疾患の治療、組織の再生においてより重要な役割を果たすようになるでしょう。
中国科学院広州生物医薬・健康研究院の劉晶研究員、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地の侯蓉研究員、中国科学院広州生物医薬・健康研究院の王魯勤助理研究員が共同責任著者で、成都パンダ繁育研究基地の劉玉良研究員、中国科学院広州生物医薬健康研究院の張世豪博士が共同第一著者です。
本研究は国家重点研究開発計画、国家林業草原局、成都ジャイアントパンダ繁殖研究基金、国家自然科学基金、四川省自然科学基金、広東省基礎・応用基礎研究基金から援助をいただきました。

絵 ジャイアントパンダiPSCsの作製、鑑定と体外維持培養シグナルネットワーク
